はじめに

授業で課す課題のレポートの採点はとても難しいものです。真面目な人は卒業論文のような大作を提出してくれたり,ほとんど「参考」文献(たいていの場合,インターネットが情報源。参考にカギカッコ付けたのは「丸写しにした文献を参考文献とは呼ぶんじゃない」という気持ちを込めています)を丸写しにしたような省エネな仕上がりになったりと,実に多様なレポートが提出されます。クオリティのばらつきがとても大きいので,満点10点と設定しても本当は 50点,-30点,というような点数をつけたくなる衝動に駆られてしまうのです。

教員と学生の間で評価基準が正しく共有されていないのが大きな原因だと思いますが,ルーブリックを作成しても「面倒だから読まない」とか「時間がないからとりあえず何か書いて出してしまえ」とかいった学生側の色々な思惑や事情があって,理想と現実には大きな隔たりがあります。ひょっとすると自分の文章をコントロールする術を身につけてないとか,そもそも授業で扱ったトピックを理解していないといった知識・技術面の問題もあるかもしれません。

以下では,僕が期待している課題レポート(経済理論のレポート)の書き方を説明します。授業で学習したことをきちんと理解できていれば最小の努力で満点を取れるようになるはずです。

注意

他の教員の課題レポートで良い点数を取るのに役に立たない可能性があります。例えば,「既存の枠組みにとらわれない斬新な発想」を評価するタイプの教員の課題や,足を使って調査をする必要がある場合にはまったく意味をなさないかもしれません。あしからず。

サンプル課題

経済学の授業で,次のような課題が出されたとしましょう。

見かけ上は異なる体裁を取っているかもしれませんが,多くの問題がこのパターンと同等の問題に変形することができると思います。以下では,この課題に対する対処法という形式でレポートの取り組み方を説明します。

注意

経済理論の授業では,授業で扱ったモデルによく似た別のモデルの証明問題や計算問題が出される可能性もあります。「授業で扱ったトピック」の証明や計算をきちんと理解していれば解けるように出来ているはずです。

課題の取り組み方

授業内容を理解する

上の課題を課すことの思惑は基本的には次のようなことを教員側が期待しているからです。

  1. 全トピックについて一通り学んでほしい
  2. そのうち少なくとも 1つのトピックについて掘り下げて学んでほしい
  3. 抽象的な理論と現実との接点を理解してほしい

教員におもねることがいいことだとも思えませんが,成績は優(A)より秀(A+)の方がいいに決まっているので,教員の期待に答えましょう。

トピックを選ぶ

授業で扱ったトピックを一通り確認して,授業で扱っていないテーマを選ぶことのないように注意してください。仮にそうした場合にゼロ点を付けられても文句は言えません。

その上で,授業のトピックと経済現象との類似性を見つけましょう。これには

  1. 関心のある経済現象を選んでから,関連するトピックを探す
  2. トピックを決めてから,関連する経済現象を探す

という2つのアプローチがあります。

1 は上級者向けかもしれません。新聞を読んで現象を説明するモデルがパッと思い浮かぶようになるとスムーズにレポートを書くことができます。理想は1ですが,この水準が求められているわけではありません。(仕上がったレポートだけでは識別することもできません)

2 は比較的易しいと思います。次のように進めるとよいと思います。

  1. 自分がよく理解できたトピックに焦点を絞り,
  2. 教科書か参考書(インターネット記事ではない方がよい)で,そのトピックについて書いた例を見つけてよく理解する。
  3. その例によく似た経済現象を新聞から探してくる(日経テレコンを使うとよい)。

授業内容を理解していることを示す

さて,適切な経済現象が見つかりました。

「個性」を発揮したい人へ